2016年08月22日
【寄附行為作成例16/45】(監事の職務)第16条
こんにちは! 学校法人寄附行為作成例の各条のミニ解説をしています。今日は、第3章役員及び理事会から(監事の職務)第16条です。
寄附行為作成例
(監事の職務) 第16条 監事は、次の各号に掲げる職務を行う。 一 この法人の業務を監査すること。 二 この法人の財産の状況を監査すること。 三 この法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後二月以内に理事会及び評議員会に提出すること。 四 第一号又は第二号の規定による監査の結果、この法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを文部科学大臣(都道府県知事)に報告し、又は理事会及び評議員会に報告すること。 五 前号の報告をするために必要があるときは、理事長に対して評議員会の招集を請求すること。 六 この法人の業務又は財産の状況について、理事会に出席して意見を述べること。 |
【ミニ解説】
1.本条の趣旨
本条は、私学法第37条3項各号に掲げられている監事の6つの職務を列記しています。
2.限定的列挙vs例示的列挙
私学法第37条第3項の監事の職務については、私学法では、限定的列挙なのか、例示的列挙なのか私学法には明記されていません。
この点に関して参考になるのは、平成18年改正前の民法上の法人について列挙されている監事の職務は、「監事の職務を完うするために必要なときは、この(引用者注列挙されている事項をいう。)以外の行為をすることもできると解すべきであろう(我妻「民法総則」p175頁)」とされており、例示的列挙であると解されました。同じように私学法でも、寄附行為において監事の職務として理事の業務執行を監査するに必要な事項を追加して掲げることは差し支えないと解釈されています。(参考:松坂先生p242)
3.教学監査は監査対象?
私立学校におけるいわゆる教学的な面と経営的な面とは密接不可分のものであり、また、学校法人が学校の設置管理を行うことを目的として設置される法人であることにかんがみれば、監事の監査対象である「学校法人の業務」は経営面のみに限定されるものではないと考えます。
すなわち、教学的な面についても学校法人の経営に関連する問題である以上、「学校法人の業務」として監査の対象となり、適法性の観点だけにとどまらず、学校法人の運営上明らかに妥当ではないと判断される場合には、監事は指摘することができると考えます。ただし、監事の監査が個々の教員の教育・研究の内容にまで立ち入ることは適当ではないと考えます。
(この部分:改正私立学校法Q&A)
今日は、ここまでです。