2013年02月08日
【理事会】理事会議事録の署名人数
<Q>理事会議事録の署名人数
理事会の議事録には、出席理事が全員署名しないと議事録は無効になるのですか?
<A>
理事会の議事録に、出席理事全員の署名がなくとも議事録自体はすぐに無効になりません。ただ、通常、寄附行為に議事録についての署名方法が記載されているのでご確認下さい。
<解説>
文科省の寄附行為作成例では、
(議事録) 第19条 議長は、理事会の開催の場所及び日時並びに議決事項及びその他の事項について、議事録を作成しなければならない。 2 議事録には、出席した理事全員が署名押印し、常にこれを事務所に備えて置かなければならない。 |
この寄附行為作成例第19条第2項の影響のせいでしょうか、各学校法人の寄附行為では、理事会議事録については出席理事全員の署名を求めることが多いのは事実です。
ただ、寄附行為で例えば、議長(理事長)+出席理事2名としている学校法人も散見されます。
法律的は話では、俵先生の「解説私立学校法」をお借りします(p159)
「議事録に出席理事全員の署名押印を必要とすると、議事録は、理事会終了後その場で作成できるものではないので、後日議事録が作成できてから、事務局職員が出席理事のところを廻り、署名押印を求めることになり、学外の理事数が多いと、大きな負担になる。
議事録は、通常議事の経過を要約して記載するもので、法定の要式記録ではないから、相当と認められる方法で記録すれば足りるものである。それゆえ、事務の簡素化という観点から、あらかじめ理事会又は理事長の指名する学内理事若干名の署名押印で足りるものとするのがよいと考える。
ただ、現在の「作成例」どおり出席理事全員の署名押印を必要としている規定を変更しようとすると、改悪であるとの所轄庁の行政指導があることも予想されるので、その場合は、次の理事会で議事録の記載に異議を申し出る方法を設けておけばよい。そのための案を次に提示しておく。
(議事録)
第19条〔1項略〕
2 議事録には、議長及び議長があらかじめ指名した出席理事2名が署名押印し、常にこれを事務所に備えて置かなければならない。
3 出席理事から議事録の記載について異議のあった場合は、その申出に基づいて、次の会議にはかって、議長がこれを確認しなければならない。」
今日は、ここまでです。
<追伸>
このご質問を整理した後、事業団さんの実務問答集で同じように設問を思い出しました(事業団の実務問答集p337)。回答内容としては、同じような見解に読めます。
410理事会議事録の署名人の人数
<Q>本学園の寄附行為では理事会の議事録には出席理事全員の署名押印が必要である旨の定めがある。しかし、出席理事全員から署名押印してもらうのはかなりの時間と手間を要するため、できれば一部の理事のみに限定したいと考えているが可能か。
その場合、寄附行為の条文を改正する必要があるか、もしくは、理事会会議規則を制定し、署名人を−部の理事のみに限定する旨を定めることでよいのか。
<Aのみ>
事録は議事内容についての証拠資料として作成するものであり、その議事録への署名押印は議事録が実際の理事会の議事内容と異ならないことを証明するための手段であると考えられる。この趣旨から考えると複数の理事による署名であればよく、全員である必要はないと考えられる。また、私立学校法には全員が署名押印することを義務づける旨の規定はなく、実務的には署名押印を一部の理事に限定している法人は多い。
貴法人の場合は、現行の寄附行為に出席理事全員から署名押印を要する旨の定めがあるため、一部の理事のみに限定したいならば、寄附行為の変更が必要である。仮に理事会会議規則を制定し、署名人を一部の理事のみに限定する旨を定めたとしても、寄附行為を変更しなければ、法人の基本規則である寄附行為と矛盾するため、寄附行為自体の変更が必要である。(平9年)。