【私学助成法】制定当時の記録(文部省)から2【私学助成法】第1条(目的)

2012年08月10日

【私学助成法】制定当時の記録(文部省)から1

案内こんにちは!私学助成法をこれからみていくわけですが、その前に助成法が制定された当時の生の話を当時の記録(文部省)を遡りみておきます。

分量の関係で2回に分けて掲載いたします。

 

 

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出典:ジュリスト1976.1.1「特集・教育の再編成」

 「私立学校振興助成法」

   高橋邦男(文部省管理局振興課長)より(前半。図表は省略)

 

75回国会において、私学助成策のいっそうの拡充を期するための私立学校振興助成法が成立し、昭和5141日から施行されることとなった。

以下この法律を中心に我が国の私立学校の現状、私学助成の推移等について述べてみたい。

 

◆私立学校の現状

我が国の学校教育の普及率は諸外国に比べてきわめて高い水準にあり、中でも高等教育については、アメリカに次いで普及している(表1)。この理由は、我が国の社会が必要としている指導的立場に立てる人材育成の要請と、子弟に対する高等教育が是非必要だと考える国民の多数を占めるいわゆる中産階級の拡大等によるものと考えられるが、特に昭和30年代の半ば以降の経済成長の躍進と。ベピーブームに伴う急激な大学生の急増に対して、国・公立大学も新設されてきたが、主としてこの量的拡充の問題に対応してきたのは私立学校であった。

 

すなわち、私立の大学(短大)及び高等専門学校は、昭和50年度において学校数で全体の高等教育機関998校のうち746校(74.7%)、在学者で208万人のうち164万人(79%)を占めており、高等教育の拡充・発展に重要な貢献をしてきた。

 

また、高等学校以下について見ると、高等学校で全生徒の30%、幼稚園で75%もの子供達は私立学校に在学(園)しているものであり、義務教育である小学校・中学校でも合わせて21万人が私立学校に学んでおり、私立学校は、初等中等教育の普及向上に大きな役割を果たしてきた(表2)。

 

しかしながら、私立学校の教育研究条件は国・公立学校と比較して、必ずしも十分とはいえず、例えば国立大学と私立大学における学生一人当たりの経費について昭和46年度を比較すれば国公立が71万円であるのに対し私立では28万円と約39.7%となっている。また、本務教員一人当たり学生数の比較でも私立大学は国公立大学の場合の3.9倍であり、学生一人当たりの校舎面積も国立大学の3分の1程度となっている(表3)。

 

 これはひとつには国立大学と私立大学との学部構成の相違等による点もあるが、大きな理由としては、私立大学においてはその経営の主たる財源を授業料に仰いでおり、授業料の値上げや定員超過等により収入増加を図ることには自ずから一定の限度があり、その枠内でどうしても支出を抑えざるをえない現状に起因すると思われる。

 

一方私立学校の学生等納付金は昭和50年度においてその総額の平均が大学で117万円、高校で13万円、幼稚園で12万円となっている。国・公立学校についてはそれぞれ国立大学8万6,000円、公立高校で1万3,000円、公立幼稚園で1万4,000円であることと比較すれば私立学校に子弟を在学させる父母の経済的負担は非常に大きい(表4)。

 

さらに、最近の経済情勢の変化などのために、私立学校の経営的基盤は弱体化し、もはや設置者の努力のみによっては教育研究条件の維持改善を図ることが困難となっており、独自の校風の下に特色のある教育を行うという私立学校の理想を損うのみならず、その財政状況は年々悪化しており、この財政危機を切り抜けられるかどうか私学関係者は常に不安を抱いている現状にあった。

 

◆私学助成の推移

私立学校の果たしている役割の重要性にかんがみ、国は従来から私学助成の拡充に努めてきた。戦後、私立学校に関する基本的な法律である私立学校法が昭和24年に成立し、同法に第59条として助成の規定が設けられた。当初は戦災復旧などの資金の融資が助成措置の中心であって、昭和37年に私立学校の経営を援助するため、資金の融資を行う特殊法人として私立学校振興会が設立され、国は振興会に対する出資という形で私立学校の経営を援助するという方式が確立された。

 

また、国庫補助金として私立大学の研究設備に関する補助金が昭和28年度から創設され、昭和31年度からは私立大学の理科教育設備に関する補助金が創設されることとなり、特定目的による補助金が逐次充実されてきた。更に、高等学校以下の私立学校に対しても、理科教育設備費、産業教育施設・設備費、幼稚園施設・設備費など特別の経費について設置者に補助することとしてきた。

 

なお、私立学校に対する税制上の優遇措置も大幅に拡充されており、学校法人自体が納める税金は収益事業に係るもののほかは、ほとんどなく、また私立学校に寄付を行った場合の免税措置も逐年改善されており、有利な取扱いがなされている。

 

◆経常費助成の創設

 昭和45年度において、私立の大学、短期大学及び高等専門学校の教育研究の充実向上を図るとともに、これらの学校の経営の健全化に寄与するため、経常的経費に対する補助の制度が創設され、我が国の私学助成は画期的な拡充を見ることとなった。

 

この補助金は、私立の大学、短期大学及び高等専門学校の専任教員給与費を含む教育研究に必要な経常的経費を対象とするものであり、これ以後、私学助成措置の中心は、従来の融資制度からこの経常費補助金に移ることとなった。

 

また、高等学校以下の私立学校に対しても前述した理科教育設備費、産業教育施設・設備費などの国の補助金のほか、各都道府県において、それぞれ融資、補助金などの助成措置を講じていたが、昭和45年度から私立大学に対して国の経常費補助金が創設されたことに伴い、都道府県において高等学校以下の私立学校に対して同様の経常費助成が行えるよう地方交付税制度を通じて都道府県に対する財源措置が講じられてきた。

 

なお、この私立大学等の経常費補助金については、従来の設備費を対象とする補助金とは異なり、専任教員給与費、教育研究に必要な諸経費等の経常費を対象とするものであって、その配分に当たっては、真に教育研究の向上に役立つよう、個々の私立学校の実情を的確に把握しながら、公正な機関が実施することが望ましい。従って、従来、資金の貸付けを中心として私学助成業務を行ってきた私立学校振興会を発展的に解消し、新たに特殊法人として日本私学振興財団を設立し、経常費補助金の交付業務と、資金の貸付け業務を総合的、効率的に行うこととした。また、さらに同財団は、私立学校に対する寄付金を募集し、その管理・配付を行うこととしており、私学助成の具体的実施機関としてその果たすべき役割は大きい。

 

◆私学助成の拡充

 昭和45年度に経常費助成の制度が創設され、日本私学振興財団が発足して以来、国の私学助成策は、経常費助成を中心に年々拡充されてきた。昭和45年度132億円でスタートした私立大学等経常費助成は、昭和50年度には1,000億円を超えることとなった(表5←省略)。

 

また、高校以下の私立学校に対する助成は、一般的には各都道府県が行っており、国は、そのための財源について地方交付税の制度により所要の措置を講じてきたのであるが、都道府県の助成の実情は、各都道府県の間で相当の格差を生じていた。昭和50年度から、新たに私立の小学校、中学校、高等学校及び幼稚園に対する経常費助成費補助金として80億円の国庫補助金を計上し、これによって、都道府県による私学助成の拡充を図ることとしたのである。

 

◆私学助成法制定の経緯

私立学校に対する助成についての法律上の根拠としては、従来から私立学校法第59条があり、この規定をうけて(前記のような)助成を行ってきたのであるが、最近の人件費の高騰と石油危機以来の物価の上昇は、私立学校の経営に大きな打撃を与え、深刻な危機に直面させてきた。 

 

自由民主党文教部会は、昭和484月以来、私学助成に関するチームにおいて、昭和50年度以降の私学助成策について検討を重ね、昭和492月、今後の私学助成について中間報告第2次草案を取りまとめ、私立学校に対し、国・公立学校の経費を基礎とする標準的な経常費及び施設費について、その2分の1を補助することを目途とするとの方針を明らかにしてきた。

 

他方、高校以下の私立学校の関係者は、従来から国庫補助の創設を強く希望していたが、昭和48年に入ってからは、私学関係者の間に私学助成についての法律の制定を求める運動が強力に展開され、第72回国会には、衆・参両院あわせて2,000万人をこえる署名を集めての請願が行われた。

 

私学助成チームでは、引き続き中間報告の法制化の検討に入り、495月には私学振興助成法案の要綱が取りまとめられた。その後私学関係者の意見もはぱ広く聴きながら熱心な討議が引き続き行われ、506月には最終的に党内、財政当局等と調整を行ったすえ、第75回国会の終盤において、自由民主党による議員立法として提案され、可決成立するに至った。

 

私立学校法が昭和25年に施行されて以来、25年ぶりに画期的な私学助成に関する法律が成立したこととなり、これによって従来から行われてきた経常費助成に法律の根拠が与えられることとなり、毎年度の予算措置の安定性が期待できることとなった。また、一方では1,000億円を超える補助金であるので、法律で配分基準を示し、監督規定を整備する必要性にこたえることとした。この法律が今後の私立学校の振興についての国の基本的姿勢を明確にした点は、私立学校関係者の間でも歴史的な前進として評価されている。

 

◆私学助成法の概要 ←明日です。後半へと続きます。

 

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今日は、ここまでです。



kaikei123 at 07:28│Comments(0)TrackBack(0) 【法】 私学助成法・ミニ逐条解説 

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