2012年05月22日
【理事会特集4】ズバリ:基本金は基本金対象資産とワンセット!
こんにちは! 決算承認の理事会・評議員会開催の頃でしょうか。理事会、評議員会で困らないための決算書の読み方・説明の仕方をお伝えいたします。
なお、あくまでも決算書の本質をかみ砕いた説明なので、ちょっと違和感があったらごめんなさい。皆様にお役にたてば幸いです。
【第1回】資金収支計算書
【第2回】消費収支計算書
【第3回】貸借対照表
【第4回】基本金 ←今日はココ!
第4回目の最終日は、皆さんが気になる「基本金」です。特に、民間から学校法人に移られた方には不評のようです。でも「基本金」難しくありません。
1.基本金の意義
学校経営は校地・校舎を準備して教育サービスを提供するのでビジネス的に見ると「設備投資型のサービス業」です。株式会社で教育サービス業を行うなら、校地・校舎を銀行から借金をして購入しても誰も文句は言いません。でも、学校法人では、公金である補助金を受ける関係もあり借金の返済に追われるような学校経営では歓迎されません。
そこで、校地・校舎などの固定資産を学校会計では基本金対象資産と名付けて、その財源を自己資金で確保する制度(基本金)を考えました(私学法第25法)。基本金対象資産あっての基本金なのです。
<ポイント1>
「基本金対象資産なくして基本金なし」です。
バランス・シート
基本金対象資産 200 (土地 100) (建物 100) |
基本金 200 |
2.例年の基本金の組入
消費収支計算書でお話しましたが、ちょっと復習です。例えば、学校では授業料60・補助金40などの学校が100%自由に使えるお金は「帰属収入」と名づけ金額では100になりました。
学校経営では学校運営に必要な固定資産(基本金対象資産)をなるべく自己資金で購入することを要求しています。そこで、帰属収入の100から、まず設備投資代10を差し引きます。平均で帰属収入の10%ぐらいが例年の基本金の組入額になります。まず、こうすると、固定資産さえ自己資金で買っていれば、「設備投資型のサービス業」は滅多なことでは倒産しなくなります。この考え方は民間企業にはない画期的な考え方です。逆に言うと民間企業の方は、従来の固定概念があるのでこの考えに戸惑うわけです。残りのお金90は、「学校が教育研究事業に自由に使ってイイよ」と言うことで「消費収入」と言い、実際の人件費・経費の支出を「消費支出」と言いました。
消費収支計算書
基本金組入額 10 |
帰属収入 100 | |
消費支出80 (人件費50) (経費 30) |
消費収入90 |
授業料など(60) 補助金 (40) |
消費収支差額(単年度) |
さて、新設備を自己資金で購入したことの確認は理事会で決定します。お金には色がないので、借金をしないで設備代10を支払ったとしても、もしかしたら入学金などの前受金(負債)で支払ったかもしれないので、理事会がはっきりと基本金の組入額10を決定し宣言するのです。ですから、基本金の組入取引は、実際の取引(基本金対象資産の取得)の陰にある理事会で決めた頭の中で決定した観念的な取引です。ここも忘れないで下さい。
<ポイント2>
基本金対象資産(建物など)の購入は、実際の取引。
基本金の組入は理事会が決める観念的な取引。
もっと詳しく知りたい方には、事務局で本を出しました。
ご参考になれば幸いです。
【概要】完売。限定販売。次回のご期待下さい。
編著者名 梶間栄一/著
出版社 ぎょうせい (2012/3/30)
判型 A5
体裁 単行本(ソフトカバー)
定価(価格) 3,500円(税込み)
本体 3,333円
ISBN 978-4-324-09397-9
図書コード 5107805-00-000
発行年月日 2012年03月20日
<購入方法>
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