2012年05月18日
【理事会特集2】ズバリ:消費収支計算書は「やりくりママ」で理解する!
こんにちは! 決算承認の理事会・評議員会が近づいて来ました。理事会、評議員会で困らないための決算書の読み方・説明の仕方をお伝えいたします。
なお、あくまでも決算書の本質をかみ砕いた説明なので、ちょっと違和感があったらごめんなさい。皆様にお役にたてば幸いです。
【第1回】資金収支計算書の見方・使い方
【第2回】消費収支計算書の見方・使い方←今日はココ!
【第3回】貸借対照表の見方・使い方
【第4回】基本金の見方・使い方
今日は、消費収支計算書です。学校法人会計基準では、収支均衡主義をうたっています。しかし、消費収支計算書をビジネス的に見ると、消費収支計算書は、「学校経営の採算」を見る計算書です。もっと言うと、「学校が儲かっているか」みる計算書です。消費収支計算書は、家庭の「やりくりママ」で理解します。
学校法人はビジネス的に見ると、校舎・校地を用意して教育サービス事業を展開する、設備投資型のサービス業と言えます。さて、学校法人の会計基準が生まれる時に、学校法人には特別に経常費の補助金を支給するものですから学校法人が簡単につぶれては困ります。そこで、学校法人に「設備投資」と「サービス事業」を自己資金でまかなって、なるべく借金をしないような健全経営を学校に要求しました(参考:私学法25条)。この考え方を背景に生まれた学校の会計基準では、設備投資部門とサービス事業部門の採算を合わせて取ることを期待して消費収支計算書が作られました。
消費収支計算書の具体的な仕組みです。
学校に入ってくるお金のうち、授業料収入、補助金収入や借入金収入がありますが、授業料、補助金収入のような将来、学校が返済しなくてもよい収入を学校に100%帰属する収入と考えて「帰属収入」と名付けました。ここから、学校法人の設置や施設の拡充に必要な「基本金組入額」を差し引きます。これで、まず設備投資部門の財源確保をしました。次は、サービス事業部門に移ります。帰属収入から基本金組入額を引いた金額を、学校法人が教育サービス事業に使って良い収入と言う意味で「消費収入」を言います。そして、実際のサービス事業で使う人件費や経費を「消費支出」と言います。サービス事業部門の収支は、消費収支差額と言います。営利を目的としないので、利益・損失といいません。
こうして、消費収支計算書では、「設備投資部門」と「サービス事業部門」の採算を確保して、永続的な学校経営が可能となります。
予備知識としては、事業団さん(日本私立学校振興・共済事業団)は近年、帰属収入から消費支出を差し引いた帰属収支差額を重視するようになりました。帰属収支差額は、民間企業の利益にあたります。
◆消費収支計算書は、「やりくりママ」でイメージします。
消費収支計算書は家庭で言うと、奮闘する「やりくりママ」のイメージで理解すると簡単です。
家庭では、やりくりママは、パパからお給料をもらったら(帰属収入)、まずマイホームを自己財源で確保して(基本金組入額)、残りのお金(消費収入)で家計費(消費支出)をまかなっていきます。住宅も家計費もパパの給料の範囲内でやりくりします。
単年度の「経営の採算」をみる
ズバリ、「儲かっているか」みる
↓↓↓
消費収支計算書
基本金組入額 10 |
帰属収入 100 | |
消費支出80 (人件費50) (経費 30)←減価償却額が大 |
消費収入90 |
授業料など(60) 補助金 (30) その他 (10) |
消費収支差額(単年度)10 |
こうして、消費収支計算書では「設備投資部門」「教育サービス事業部門」の採算をあわせて取ると消費収支差額がプラスとなります。
もっと詳しく知りたい方には、事務局で本を出しました。
ご参考になれば幸いです。
【概要】完売。ありがとうございました。
編著者名 梶間栄一/著
出版社 ぎょうせい(2012/3/30)
判型 A5
体裁 単行本(ソフトカバー)
定価(価格) 3,500円(税込み)
本体 3,333円
ISBN 978-4-324-09397-9
図書コード 5107805-00-000
発行年月日 2012年03月20日
<購入方法>
●アマゾンから購入 http://www.amazon.co.jp/
●出版社から購入 http://shop.gyosei.jp/index.php
●「Google」、「yahoo」の検索エンジンに「学校法人会計の仕組み」と入力する
●大手書店に問い合わせください。