2012年03月05日
【小科目】形態分類と目的分類の違い
<Q>学校会計では、経費の科目を原則、形態分類としていますが、どうしてですか?
<A>
1.形態分類と機能分類
基準の別表第1の(注)では、
「2 小科目に追加する科目は、形態分類による科目でなければならない。ただし、形態分類によることが困難であり、かつ、金額がきん少なものについては、この限りでない。」とあります。
なるほど、学校会計の科目をよく見ると2つの分類基準から作られているようです。形態分類と機能分類・目的分類です。ここでは経費科目の例で説明します。
形態分類は取引をその対象に即して整理する科目分類で、科目の内容を客観的に判断します。例えば、文化祭で使うポスター用の画用紙を購入した場合は、消耗品費(支出)になります。
これに対して、機能分類・目的分類による科目は,支出の目的または学校法人の活動を科目のうえで明示するための分類です。ここでは、学園祭で使うポスターの画用紙を購入した場合は、文化祭支出と言うことになります。しかしながら、学校法人会計基準を作った当時、目的分類では、その内容は多岐にわたり,複雑になりそうだと考えました。そこで, 基準で追加する小科目は, 形態分類によることを原則とし,目的分類・機能分類を例外としました。具体的には、基準別表第1の注にあるように、「小科目を追加する場合は,形態分類による科目でなければならない。ただし, 形態分類によることが困難であり, かつ, 金額が僅少なものについては,機能分類または目的分類による科目とすることができる」となったのです。
※よくみられる小科目の分類例
分類基準 |
小科目の例 |
形態分類 |
光熱水費支出・消耗品費支出 |
目的分類 |
福利費支出・会議費支出 |
では、ここで別表第1(注)の「金額が僅少」とはいくらかです。学校会計の法規集では特に決まっていませんが、参考になる目安としては、
「金額のきん少という基準を示すことは,学校法人の財政規模などによって一概にはいえないが,当該小科目の属する大科目の額の100分の1を超えるようなものは,きん少とはいえないものと考えられる。」(「新版学校法人会計基準詳説」H2。野崎弘編著 第一法規出版)とあります。この本の編者の方は、執筆当時、「文部省高等教育局私学部長」であったことからでしょうか学校会計では、参考にする書籍になっています。事業団の実務問答集(第3版のQ328)でもこの考えを参考にしていました。
3.幼稚園法人の通知
また、幼稚園法人については、ちょっと古いですが旧文部省の通知があります。
『「小規模法人における会計処理等の簡略化について(報告)」について(通知)』(S49。文管振第87号)
「(4)幼稚園法人にあっては、運動会、学芸会等日常の教育活動の一環としての諸行事に係る経費や保育研修会、楽器指導講習会等教職員の資質向上のための研修会、講習会等への参加経費については、それぞれ形態分類によらない小科目を設定することができる。ただし、これらの小科目の金額が多額となる場合は、その小科目の内訳を形態分類により表示することが適当である。」とあります。これはご参考まで。
今日は、ここまでです。