2011年08月29日
【私学法第35条】(役員)
こんにちは! 夏休みは私立学校法を一条ずつ簡単にですけれど、読み込んでいます。今日から、第3節「管理」、私立学校法の中心の部分です。
第3節「管理」は,学校法人の役員に関する規定、理事会・評議員会に関する規定、財産目録等の備付け及び閲覧,会計年度等に関する規定などが置かれています(第35条〜第48条)。
【私立学校法第35条】(役員)
第35条 学校法人には、役員として、理事5人以上及び監事2人以上を置かなければならない。
2 理事のうち1人は、寄附行為の定めるところにより、理事長となる。
【説明】
1.本条の趣旨
本条は、学校法人には役員に設置について定める規定です。
法律では、活動の主体は自然人(人間)と法人(会社、学校法人など)です。ここで、学校法人は、自然人ではないので、学校法人自身では動くことができません。そこで、私学法は、学校法人には役員を必須の機関として定めて、学校法人は自然人の活動を通じて活動することになります。
2.役員数について
旧民法の財団法人では、役員が2,3人という少数であったり,監事が置かれない場合がありえたため、理事の専断が行われるリスクがありました。そこで、私立学校法では役員の人数を明確にして、私立学校としての「公の性質」を確保することにしました。
具体的な人数ですが、本条では、理事理事5人以上及び監事2人以上と最低限の役員数を決めていますが、上限の人数は決められていません。
私学法で「以上」とだけ決めたのは、学校法人は幼稚園から大学まで、かなり規模の差があり、一律に決めることができなかったのでしょう。
学校法人の具体的な役員数は、各学校法人の規模等を考慮して寄附行為で定めることとなります。
・理事…5人以上としたのは、一部理事の専断運営をなくすためです。
・監事…2人以上としたのは、監事を必須の機関としておき、同じく一部理事の専断運営をなくすためです。
3.理事長
理事のうち1人は、寄附行為の定めるところにより、理事長となります。そして、理事長は、職務として「学校法人を代表し,その業務を総理します」(私立学校法第37条)。
平成16年の私立学校法改正以前には,私立学校法では全ての理事が平等に代表権を持つことが原則でしたが、多くの学校では代表権を一部の理事にまかせ他の理事の代表権は寄附行為でこれを制限していました。そこで、の実態を法律で明確にしました。
役割分担としては、執行機関としての理事長と意思決定機関としての理事会になります。